カザフの首都アスタナがヌルスルタンに改称したらしい

アスタナがヌルスルタンに改称



スマニュー見てたら「東京/成田〜ヌルスルタン線のスケジュールを〜」という記事が目に入ったのですが、正直「ヌルスルタンってどこだよ!」って思いましたよね。
気になって調べたら、カザフスタンのアスタナが2019年3月23日に改称したらしいですね。

そもそもカザフスタンってどこよ


カザフスタンは中央アジア北部に位置する国です。ロシアの真ん中へんの南、中国の北東ですね。世界で9番目の面積を誇る、めちゃめちゃでかい国です。

カザフスタンは資源大国

カザフスタンはソヴィエト連邦から独立した中央アジアの他の国(キルギス、タジキスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン)と比べてぶっちぎりの経済規模です。世界12位、中東のカタールを抜く量の石油埋蔵量と、天然ガス、鉱物資源と言った資源パワーで経済が成り立っている国、それがカザフスタンです。

項目 カザフスタン ウズベキスタン トルクメニスタン キルギス タジキスタン
国土面積
(平方キロメートル)
272万4,900 44万8,900 49万1,200 19万9,900 14万3,100
人口
(2017年推計)
1,819万 3,172万 554万 620万 884万
名目GDP
(2017年推計)
1,562億ドル 675億ドル 417億ドル 71億ドル 72億ドル
1人当たりGDP
(2017年推計)
8,585ドル 2,128ドル 7,522ドル 1,140ドル 819ドル

(JETROのレポートより引用)

ウズベキスタンが人口の力と、トルクメニスタンが天然ガスの力で頑張っていますが、経済規模では中央アジアトップです。資源パワーすごいですよね、日本人としては羨ましいです。

ヌルスルタン(旧アスタナ)は陸の孤島

アスタナがヌルスルタンに改称
さてそんなカザフスタンの首都、ヌルスルタン(旧アスタナ)ですが、中央アジアを旅行したことのない人からすると、そもそもヌルスルタンがある場所のイメージがつかないと思いますので、軽く説明したいと思います。
一言で言ってしまえば陸の孤島ですね。ヌルスルタンに行ったことがある日本人は、ビジネス目的の人か現代建築が好きな人だけじゃないんでしょうか。
独立後のカザフスタンの首都はもともとは南の、他の中央アジアに近いアルマトイという街だったのですが、1998年にアスタナ(現ヌルスルタン)に遷都しました。このアルマトイは日本人も結構行く街なんですが、純粋な旅行者でヌルスルタンまで行ったことのある人ってなかなか聞かないですね。

名前の由来

今回の首都改称は1990年から2019年まで、約30年の長きに渡ってカザフスタンの大統領を務めた、ヌルスルタン・ナザルバエフ氏の業績を称えての改称でした。
日本でいうと東京を「シンゾウ」と変えるようなものですので、変な感じがします。まあベトナムのホーチミンも指導者の名前ですし、海外では人名を町や地域、通りの名前にするのはよくあることです。

名前の意味

ヌルスルタンはカザフ語ではнұр (ヌル) сұлтан (スルタン)となります。
人名ですがそれぞれ意味があり、「ヌール」も「スルタン」もアラビア語由来で、「ヌール」が「光の」、「スルタン」が「王」という意味です。スルターンは正確には「王」ではなく「権威」といった感じの意味ですが、イスラーム的な価値観のある言葉ですのでなかなか説明が難しいです。最近では、シリア・イラクのイスラーム過激派ISILのトップがスルターンを名乗っていましたね。
あまりピンとこないかもしれませんが、中央アジアではソ連時代から引き続き在住しているロシア人を除いてローカルの人々はイスラーム教徒が多いです。ナザルバエフ氏も例にもれず、イスラーム教徒でした。

首都改称は中央アジアではよくあること

中央アジアはソ連に編入されてしまったせいで、ロシア由来の名前から現地の言葉に改称することが多いです。各国の例を見るとこんな感じです。

キルギス・ビシュケク

ピシュペク(1862)
フルンゼ(1926 / ロシア人将校の名前)
ビシュケク(1991)

トルクメニスタン・アシガバート

アシハバード(1818 / ロシア人入植)
ポルトラツク(1919)
アシハバード(1927)
アシガバート(1991)

トルクメニスタン・ドゥシャンベ

スターリナバード(1929 / スターリン)
ドゥシャンベ(1961)

インドもイギリス風の名前を「マドラス→チェンナイ」と変えてますし、ミャンマーでは「ラングーン→ヤンゴン」「サイゴン→ホーチミンシティ」といった感じで植民地だった国は独立後に現地名に戻すことはたくさんあります。
日本も挙母市(ころもし)→豊田市に変えていますし、人のことは言えないかもしれませんね。