ドラクエ3の世界地図を、歴史好きかつ世界中あちこち行きまくったバックパッカーの視点から考察してみました。筆が乗りに乗りまくってしまいましたので、はっきり言って長いです。(1万7千字あります)
なので目次から気になる都市・場所にピンポイントで飛ぶのがおすすめです。
特に理由がない限りは鉄板の攻略ルートの順番で解説していきます。その方が記憶を呼び戻しやすいでしょうしね。
原則的には推測での話で進めていますが、アレフガルド、ノアニール、シャンパーニュ、グリーンランド、スー、アッサラームに関しては、「ドラゴンクエストⅢマスターズ・クラブ」というファンブックでドラクエの生みの親の堀井雄二さん自身が場所について回答していますので確定です。
世界地図はXB-LIMさんが提供している地図データを元に作成しています。
目次
アリアハン
- 現実での位置:無し
- 名前の由来:ハワイ王国旧都ラハイナ(Lahaina)のアナグラム or アーリア+ハーン
アリアハンのある大陸は「位置的にオーストラリアだよなこれ」と思っていたんですが、大人になってよく見たら地球のへそ(ほぼ間違いなくエアーズロックがモデル)のある大陸が形的にも間違いなくオーストラリアですので、アリアハンは地球には存在しない大陸となります。
アリアハンのある大陸は、ムー大陸がモデルとの説が有力です。以前開催されていた「ドラゴンクエストミュージアム」で、ドラクエ3の設定集にアリアハンを含んだ上世界全体を「ムー」とするメモが展示されていたらしいので、ムー大陸がからんでいることはほぼ確定でしょう。少なくとも大西洋に沈んだアトランティスではなさそうです。
名前について確定的な説は無く、ハワイの旧都ラハイナ(Lahaina)をアナグラムにしたものと、「アーリア(アーリア人)+ハーン(チンギス・ハンなど、中央アジアでの君主の称号)」という2つの説が有力です。
アーリア・ハーン説
(アーリア人活動エリア・ハーン使用エリアはざっくりで記載しています)
アーリア・ハーン説は、アーリア人の「アーリア」と、チンギスハーンなど、中央アジア・モンゴル高原にかけての君主の称号である「ハーン」を組み合わせたものが「アリアハン」であるという説です。
アーリア・ハーン説は昔から言われている説ですが、個人的には少し無理があるかなと思います。アーリア人に関連付けるとしたら、アーリア人に関連するイラン〜中央アジアの位置にするか、少なくともユーラシア大陸に関係した位置になるべきですからね。太平洋ど真ん中の「ムー大陸」の位置と、「アーリア人」、ユーラシア大陸の君主名である「ハーン」を関連付けるのは無理がある気がします。
またハーン(汗)は称号であるため、国や都市名の語尾にはつきません。ハーンは「国」という意味を表すのではなく、あくまで君主の称号です。○○王や○○帝に近いものであり、国名に付ける場合は「○○ハン国」と、ハンの後に「国」をきちんとつけます(例:オゴデイ・ハン国、チャガタイ・ハン国)。チャガタイ・ハン国で例えると、「チャガタイ・ハン」だけであればそれは「始祖チャガタイという人名+ハーンという称号」であり、「チャガタイ・ハン国」と「国」つけることによってようやく国を表すことができます。
(まあ自分で言っておいてアレですが、「アーリア・ハーン説なら語尾に”国”をつけないとだめだ!」とか、子供向けのファンタジーゲームであるドラクエの都市名の語尾に「国をつけろ」なんてのは無粋の極みレベルの難癖と言えます)
ラハイナ説
ただまあやはり、個人的にはラハイナ説のが説得力があるかなと感じますね。ラハイナはマウイ島にある、ハワイ王国の首都だった都市です。現在も1万人以上の人が住んでいます。
ラハイナ説のほうが説得力があると感じる理由は以下の3点です。
- アナグラムがぴったりと一致する
- ハワイという太平洋の立地
- ハワイ旅行に憧れる人が多数の時代に開発された
まずアナグラムです。ラハイナのアナグラムをわかりやすく図にすると以下のようになります。
ぴったりと一致していますね。
また立地に関しても、アリアハンは太平洋上に存在する大陸なので、実在のハワイの位置からかなり近い位置にあります。ハワイの中でもホノルルではない理由ですが、あとでランシールの説明でも説明するように、ドラクエ3の現実にある場所ベースの地名は「わかりやすい・著名な」地名や元ネタから持ってくることが多いです。例えばポルトガやイシスなどですね。その点でいうとハワイの州都「ホノルル」ではなく、マイナーな「ラハイナ」という地名を採用することには若干の疑問が残りますが、ただ開発当時の1987年頃は新婚旅行などでのハワイ旅行が憧れだった時代と思いますので、開発陣の誰かがハワイに行った時の思い出の町なのかもしれないと無理やり結論づけようと思います。
ナジミの塔
- 名前の由来:馴染むための塔
非常にわかりやすいネーミングですね。冒険に慣れるための「馴染みの塔」です。
ドラクエ3においては、実在しない地名や場所は基本的には日本語をもじった名前がつけられています。例えばこのナジミの塔や、ルザミ(見ざる)などです。
レーベ
- 名前の由来:不明
実在しない地名については日本語からつけられるという原則からは全く想像がつきません。公式ガイドブックの英語表記がLeveですので、Leave(離れる)という英単語が元となったのかもしれません。A(アリアハン)をLeaveして、冒険に出る的な感じですかね。
ただなんとなく、堀井氏が語感でつけただけな気もしますが、誰かコレという情報を持っている方がいましたら、情報提供お願いします。
いざないの洞窟
- 名前の由来:新たな冒険にいざなう(誘いの)洞窟
まあこれはチュートリアル的なアリアハンのある大陸から出て、広い世界での新たな冒険に「いざなう」洞窟ということでしょう。
ロマリア
- 現実での位置:ローマ(イタリア)
- 名前の由来:ローマ+イタリア
アリアハンから魔法の玉使用し、いざないの洞窟を抜け、旅の扉を抜けたところの国です。
まあ特にひねりもなく、ローマ+イタリアのもじりです。実際のローマからはちょっと位置が南な気もしますが、そこまで気にするほどの距離では有りません(3歩分くらい)
ロマリアにモンスター闘技場があるのはローマのコロッセウム(闘技場)からでしょうね。グラディエーター(剣闘士が戦う映画)のあれです。
ロマリアの関所
- 現実での位置:ピレネー
ロマリアの関所にはピレネー山脈っぽい山脈があるので、トゥールーズかアンドラ辺りでしょう。ただこの辺にこんなサイズの川や池は無いはずなので川は架空のものですね。
カザーブ
- 現実での位置:キエフ(ウクライナ)らへん?
- 名前の由来:キエフ or カザフスタン?
どくばりが手に入る村です。
カザーブに関してはネット上だとカザフスタンが元ネタ!という意見が大多数なんですが、個人的には「う〜ん、本当にそうなのかな」と疑問に感じます。
カザフスタン説に否定的な理由は以下の2点です。
・場所がかなりズレている
・開発当時にカザフスタンという独立国は存在しない
カザフと場所がかなりズレている
そもそも場所がかなりずれています。
(クリックで拡大)
カザフスタンはカザーブの位置から黒海を超え、さらにカスピ海を超えた所に位置しますので、ドラクエ3の歪んだヨーロッパ〜極東での地図で無理やり位置づけをするとすれば、カスピ海〜ガルナの塔(ダーマ神殿北の塔)辺りがカザフスタンとなります。
これはさすがに離れ過ぎではないでしょうか。
開発当時にカザフスタンという独立国は存在しない
さらにドラクエ3の発売日は1988年、そして旧ソ連圏であるカザフスタンの独立日はソ連が崩壊した1991年です。カザフ・ソビエト社会主義共和国という「共和国」でしたが、ソヴィエト連邦を構成する実質的な植民地であり、教科書で使うレベルの世界地図では「カザフ」の文字は存在しません。
昭和62年と平成24年の世界地図比較。62年の地図ではドイツは東西に分かれ、ソ連、ユーゴスラビア、ザイールなど、今では見られない国名も多い。そしてアラル海の大きいこと…。歴史は地図を変えます。 pic.twitter.com/GIOnj5MVd0
— 高校地理B対策 (@526Geo) May 16, 2018
この地図ではカザフの主要都市であるアルマトイ(当時の首都で現在でも最も栄えている都市)、アクモリンスク(現首都ヌルスルタン、旧アスタナ)の名前は記載すらされておらず、中央アジアの主要都市で記載されているのは現ウズベキスタンのタシュケントのみとなっています。
このような状況で、位置がかなりズレた、さらに日本での知名度の低めなカザフの名前をわざわざ持ってくるかな?と思ってしまいますね。現在で言うなれば、現ロシア連邦のダゲスタン共和国の名前を持ってくる感じですね。ゴルバチョフがペレストロイカを進めていた時代でソ連崩壊の予兆はあったのかもしれませんが、1988年販売のゲームで1991年のソ連崩壊後に「カザフ」という国が独立するのを見越して「カザフ」からわざわざ名前をつけるとは思えません。
ただ僕は発売当時の情勢を実際に知っているわけではありませんので、開発時〜1988年にカザフスタンという名称が有名だという可能性もあります。まあ中央アジアは第二次世界大戦後にロシア軍に拉致された方が多く抑留された場所でもありますので、その線で知名度があった可能性も無いとは言えません。
「カザフスタンじゃないのはわかったから、じゃあどこなんだよ」という話なんですが、ドラクエ3の地図はアルプスより北のヨーロッパが異常に歪んでいるので推定しずらいんですよね。黒海に注ぐドニエプル川がカザーブの東側にありますので、ドニエプル川よりは西にある街ということになります。シャンパーニの塔の北にある半島がおそらくデンマークですので、ま〜この情報から行くとキエフ(ウクライナ)かミンスク(ベラルーシ)らへんでしょうね。名前的にもキエフかなあと思います。キエフはロシア語だとКиевと書きますので、まあ一応もじれなくはないかなという感じですね。иも少し向きを変えたらzに見えますし。キエフのあるウクライナもカザフスタンと同じくソ連圏の一角をなす共和国でしたが、キエフは歴史的にも地政学的にも非常に重要な都市ですので開発同時でもある程度の知名度はあったと思われます。
シャンパーニの塔
- 現実での位置:シャンパーニュ(フランス)
- 名前の由来:シャンパーニュ(フランス)
カンダタと初めて戦闘する塔です。
まあ全くひねりもなく、フランスのシャンパーニュ地方ですね。シャンパンの産地です(今気づいたんですが、シャンパーニの塔ってシャンパンタワーですね)
場所的にはフランスの北東部に位置します。wikipediaにあった画像と合成するとこんな感じです(赤部分がシャンパーニュ地方)
ノアニール
- 現実での位置:フィンランド
- 名前の由来:ノルウェー
カザーブの北にある、住民が皆眠ってる村です。名前の由来についてはファンブックでの「ノアニールの元ネタはノルウェー」という説に堀井さんがお墨付きを与えてますので、ノルウェーで確定です。
ただ場所的にはスカンディナビア半島のどちらかというと付け根よりですので、ノルウェーと言うよりフィンランドに位置します。ノルウェーは位置的にはエルフの隠れ里と洞窟ですね。
このへんで眠りにつくというエピソードでは北欧神話のヴァルキューレであるブリュンヒルド(Brunhild)、北欧の妖精と言ったらムーミン(トロール)辺りですが、ドンピシャなエピソードはありません。まあ「自死したカップル」の「夢見るルビー」を手に入れるというイベントなので、炎の館で寝ていて最後は自死するブリュンヒルドが元ネタなのかなという感じはします。
ノアニール南西の洞窟
- 現実での位置:オスロ(ノルウェー)
エルフの隠れ里
- 現実での位置:ベルゲン(ノルウェー)
ムーミンの里かな?
アッサラーム
- 現実での位置:バスラ(イラク)
- 名前の由来:ムスリム(イスラーム教徒)の挨拶(アッサラーム・アレイクム)
この辺り、アラビア半島〜アフリカにかけての地理は、ペルシャ湾と紅海があるおかげでわかりやすいですね。(とはいえアッサラーム南西の半島はシナイ半島っぽい形でもあるので、そうなるとさらに南東にある砂漠地帯がアラビア半島と考えられます。ですが地中海〜インドまではアッサラーム以外の町や洞窟は無い地域ですのでどちらであっても検証にはあまり差し支えはありません)
アッサラームという町の名前は、イスラーム圏での共通の挨拶「アッサラーム・アレイクム」から採用されたというのが妥当でしょう。ファンブックでも堀井さんがお墨付きを与えてます。「アッサラーム(サラーム)」はこんにちはからこんばんはまで使える万能挨拶なので、中東に限らずイスラーム圏に行くときは覚えておいて損はないですよ。
発音はこんな感じです。
イラクの首都バグダッドには「マディーナ(町)・アッサラーム(平和の)」という別名があるためバグダッドが元ネタだという説もありますが、DQ3のアッサラームは場所的にはバグダッドではなくイラク第二の都市バスラ(港町)が存在する位置にあります。バグダットはもう少し北で、内陸になりますね。
ただまあ特定の都市を指しているんじゃなくて、イスラーム圏というぼんやりとしたイメージから町を作っただけなんだと思います。
場所的にはひねって古代メソポタミアのシュメール都市ウル・ウルクあたりでもおかしくないかなと思ったのですが、「アッサラームという名前」「ターバンを売っている」と、まあここまでイスラームイスラームしているので、「象徴としてのイスラーム都市」という設定なのでしょうね。ベリーダンスもやってますし(SFC版では劇場にいる客が「ベリーダンスはいつみてもさいこーですね!」と明言しています)イスラーム圏で確定でしょう。
ただこんなステレオタイプ垂れ流しな上に街の女がぱふぱふするとか、今の時代の感覚からするとこの辺の方々に喧嘩売りすぎでヤバすぎるだろと思ってYoutubeの動画で確認してみたんですが、海外版だとぱふぱふが「占い(fortune)」になっていました。一安心ですね。
ちなみにセリフは「Hey, cutie pie!(ねえ、そこのかわいい子!)Want to have your fortune told?(占いしてみない?)」です。以下の動画から確認できます。
イシス
- 現実での位置:トンブクトゥ(マリ)
- 名前の由来:エジプトの神(イシス)
イシスはエジプトの神であり、オシリスの妹、ホルスの母です。この辺は厨二心をくすぐりますよね。ただ、名前は間違いなくエジプトの神イシス由来なんですが、このイシスという都市の位置って、全くもってエジプト文化圏ではないんですよね。現在で言うイスラーム圏であり、アラビア圏ではあるんですがエジプト文化圏ではありません。エジプト文化圏はサハラ砂漠東です。この都市があるのはサハラ南西であり、ベルベル人や黒人系の方々のテリトリーです。
ドラクエ3の本筋ではあまり語られませんでしたが、スピンオフ漫画の紋章を継ぐ者達へで「金がたくさんある街」と表現されていました。まあ普通に考えれば、エジプト文化圏という設定の元で「ツタンカーメンの黄金の仮面」や「ファラオの黄金の棺」などをイメージしたと考えるべきですが、個人的には実はマリ帝国の首都であったと言われている、トンブクトゥが元ネタなんじゃないかなーと考えています。マンサ・ムーサという人類史上最高額の金を保有していた皇帝が、メッカの巡礼のときに黄金をばらまきまくったというアレな国です。
位置的にはイシスの位置とトンブクトゥの位置はかなり近い位置となっています。
ピラミッド
- 現実での位置:アルジェリア
- 名前の由来:ピラミッド
ピラミッドはピラミッドなんですが、この位置はなぁ〜。「現実のようにシナイ半島部分を徒歩で渡ってすぐのところ(ギザのピラミッドがある位置)にピラミッドがあるとゲーム的におかしくなってしまう」ので、砂漠の奥の方(アルジェリア)に配置したというのはわかるんですがやっぱり違和感ありますね。
アルジェリアにもピラミッドらしきもの(Medracen / 下写真)はありますが、ゲームのピラミッドはやはりギザの大ピラミッドをイメージして作っているから違和感ありますね〜。
砂漠の右下(南東)に配置したほうが良かったと思うんだけどなぁ。ピラミッドだったらエジプトかスーダンにないとやはり変な感じがしてしまいます。ピラミッドだったらエジプトかスーダンでしょう。
ちなみにピラミッドで黄金の爪を盗むとモンスターのエンカウント率が跳ね上がりますが、これはピラミッドから王家の財宝を盗み出した盗掘者に対して「王家の呪い」がふりかかるという都市伝説が元ネタでしょう。
ポルトガ
- 現実での位置:グラナダ・ジブラルタル
- 名前の由来:ポルトガル
ポルトガでは王様が「胡椒を探してこい」だの「東方を見聞せよ」だの言ってますので、オスマン・トルコに地中海経由の東方貿易のルートを塞がれて、インド方面の東方に独自の海路を求めていた大航海時代のポルトガルのイメージでしょう。王が船を提供するということなので、王のイメージとしてはエンリケ航海王子辺りでしょうか。
ノルドの洞窟とバーンの抜け道(アッサラーム東)
- 現実での位置:ザグロス山脈
場所としてはイランとイラクを隔てるザグロス山脈の位置がピタッと当てはまります。
この洞窟は行き止まりになっており、ここにいるホビット以外「バーンの抜け道」という道を知らないそうですが、まあこの記事を読んでいる読者層が「バーン」と聞いたらダイの大冒険のバーンを思い浮かべる方が大多数でしょう。
ダイの大冒険はドラクエ3の発売より後に連載開始ですので、関係があるとすればこの抜け道から名前を取ったという可能性がまあ無くも有りません。
肝心のドラクエ3自身でのこの抜け道の命名ですが、位置的にイランの都市であるエスファハーンから取ったのかもしれません。エスファハーンは財宝が溢れ「世界の半分」と呼ばれた都市です。
バハラタ
- 現実での位置:バラナシ(インド)
- 名前の由来:バラタ族(インドの古代民族)
バハラタはカンダタが再度登場するイベントのある、胡椒がもらえる町です。以下の4つの点を考えると、間違いなく「インド」がイメージでしょう。
- バハラタという町名
- 黒胡椒が売っている
- 町の青年の名前がグプタ
- 聖なる川が流れている
「バハラタ」という町名
インドのヒンドゥー語での正式名称はバーラト・ガナラージヤ(Bhārat Gaṇarājya)=バーラト共和国(バラタ族の国)と言います。そして、Bhārat(バーラト)の読み方を変えるとバハラタと読むことができますね。
バラタ族というのが古代インドの文献「リグ・ヴェーダ」に名を残すインドの伝説的な民族であり、バーラト・ガナラージヤという国名の意味するところは『インド人は偉大なバラタ族の子孫であり、そのバラタ族の国』ということです。英語の「インド」とヒンドゥー語の「バーラト」で国名が違うのが違和感があるかもしれませんが、そもそも日本も英語では黄金の国であるジパングから転じた「ジャパン」、日本語では日出ずる国である「ニッポン(ニホン)」であると考えればすんなり理解できると思います。
ちなみに世界史で出てきた古代の叙事詩マハーバーラタは「偉大な(マハー)バーラタ(バラタ人)の物語」です。
「黒胡椒」が売っている
胡椒などの香辛料は、中世においてインドの特産品でした。胡椒が手に入りづらかった時代は胡椒が金と同重量で交換された(=金と胡椒が同じ価格)というのは有名な話ですね。
コロンブスなどで有名な大航海時代も主たる目的は新大陸の発見ではなく、『コショウなどの香辛料を輸送していた地中海ルートがオスマン帝国に占拠されたため、別ルートでの独自航路の開拓する』のが目的でした。現実世界でその政策を推進したのはポルトガルやスペインなどの王様ですので、ドラクエの物語ともつながっていますね。
町の青年の名前が「グプタ」
黒胡椒を扱う商店の娘(タニア)がカンダタに拉致されますが、彼女の恋人の青年の名が「グプタ」です。
古代インドにはグプタ朝という名前の古代王朝が存在し、その実質的な開祖の名前がチャンドラグプタでした。現在のインドではグプタというのは一般的な名字となっており、日本人にとって比較的身近な人としては日産COOのアシュワニ・グプタ氏(Ashwani Gupta)が挙げられます。
「聖なる川」が流れている
バハラタの町には聖なる川が流れています。
地図的に、バハラタ辺りで聖なる川と言ったら、ガンジス川(ガンガー)ですね。バハラタはインドの首都デリーがイメージかと思いましたが、デリーに流れているのはあくまでガンジス川支流のヤムナー川ですので、もしかすると聖地ヴァラナシがイメージなのかもしれません。ガート(水浴び場)らしきものもありますからね。
バハラタ北東の洞窟(カンダタのアジト)
- 現実での位置:西ベンガル・アッサム、ブータン周辺かアッサム〜チベット南部辺り
南側の山脈をヒマラヤ山脈と仮定し、さらに北側をラサ周辺の山々と仮定して、洞窟の東の湖がヤムドク湖、そして平地が山南市・サムドゥプツェ区辺りの平地と考えることもできなくはないですが、ダーマ神殿がラサだとするとヒマラヤ山脈の位置的にこの説は厳しそうです。
現実にはこの辺りで南北が山岳に囲まれている場所というのは存在しませんので、おそらく洞窟の南にある山脈は空想上の山脈でしょう。
南の山脈が空想上のものとなると、アジトの北に位置するのがヒマラヤ山脈となり、そして東にジャムナ川があるので、カンダタのアジトは西ベンガル〜アッサム周辺で確定します。
ダーマ神殿
- 現実での位置:ラサ(チベット)
- 名前の由来:ダルマ説、ダライ・ラマ説、ダーナー(お布施)説
ダルマ(Dharma)はあの赤いダルマ(達磨)さんの名前ともなった古代インドの言葉で、「法」や「真理」「存在」を表す言葉です。仏教用語ではありますが、必ずしも仏教のみで使用される単語ではなく、ヒンドゥー教やジャイナ教などでも使用されています。Dharmaははっきりと「ダーマ」と読めますね。
ダライ・ラマ説に関しては個人的には少し否定的です。英語表記で考えるとDalai Lamaですので、ダーマとすんなり読めるダルマ(Dharma)と比べると少し弱いかなと言う感じがしてしまいます。ダルマという言葉がなかったら「ダライ・ラマ!確かに!」となっている気もしますが・・・。
ダーマ神殿の場所に関しては、地図が大きく歪んでヒマラヤがカスピ海に向かって北(本来は西)に伸びているためわかりずらいですが、ヒマラヤ北東なので間違いなくチベットのラサでしょう。ラサの宮殿、ポタラ宮をイメージしているのかもしれません。
ガルナの塔
- 現実での位置:(北に飛び出ている山脈が天山山脈なら)タリム盆地
- 名前の由来:カルマ(業)
ダーマ神殿の北にある、悟りの書が手に入るダンジョンです。名前は「これだ!」というドンピシャなものがありませんが、発音的にカルマ(業)が元ネタというのが一番説得力があるかなと思います。ダーマ神殿が仏教ネタでしたので、そのつながりでしょう。遊び人が賢者になるというカルマを悟りの書で云々的な感じですかね?
場所は正直本当に地図が歪みまくってるので全然わかりません。ヒマラヤ山脈よりは北なのは間違い有りませんが・・・。
ガルナの塔を推定するにあたって重要な要素は、ガルナの塔を囲んでいる2つの湖です。
候補としては以下の辺りでしょうか。
・アラル海(カザフ〜ウズベク)
・バルハシ湖(カザフスタン)
・イシククル湖(キルギス)
・バイカル湖(ロシア)
開発当時はアラル海の水量がまだまだ豊富だったので、ガルナの塔西の湖がアラル海の可能性も無いわけではありませんが、少しカスピ海から近すぎるためアラル海ではない気がします。
同様に、バイカル湖も遠すぎますのでおそらく違うでしょう。なお仮にガルナの塔を囲んでいる湖に注ぎ込む川がロシアのレナ川であり、東側の湖がバイカル湖なのであれば、キルギス周辺からモンゴル周辺という解釈が可能です。(バイカル湖とレナ川は実際にはつながっていませんが)
じゃあ本命はどこなんだよというと、キルギスのイシククル湖と、カザフのバルハシ湖の間ではないかと考えています。以下のようにDQ3の地図の向きを変え、現実の地図に置き換えてみたらこの2つが一番しっくり来ました。(それぞれクリックで拡大)
本来なら南北に伸びているはずのコーカサス地方・カスピ海が東西になっているためわかりにくいですが、カンダタアジト辺りから北西に向けて伸びているヒマラヤ山脈と、イラン・イラクを隔てるザグロス山脈を基準に見ていくとわかりやすいと思います。
ちなみに個人的には、この西側の湖はタクラマカン砂漠東にかつて存在した幻の湖、ロプノールだったらロマンがあるのになと思っています。「さまよえる湖」とも呼ばれたロプノールはシルクロードの要所であった楼蘭を支えた湖で、現在では砂漠化し当時の繁栄の面影はありません。シルクロードの消えた湖というのはやはりロマンがありますからね。
まあガルナの塔を囲んでいる東西の湖を、実在のどの湖を参考に配置したのかは当時の開発者以外はわかりませんので、あの辺りでお好きな湖をチョイスするのが良いかと思われます。
ジパング
- 現実での位置:京都
- 名前の由来:マルコ・ポーロ 東方見聞録
我らが日本です。その昔、日本はヨーロッパ人からはジパングと呼ばれていました。
やまたのおろちが草薙の剣(くさなぎのつるぎ)を落とすのは、日本神話でスサノオが八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の尾を切断したら草薙の剣が出てきたというエピソードに忠実ですね。ラリホーが効くのも、「強い酒をガブガブ飲んで泥酔しているところを倒された」という神話でヤマタノオロチが討伐された時のエピソード由来かもしれません。
ムオル
- 現実での位置:チュクチ自治管区(ロシアの最東チュクチ半島やカムチャツカ辺り)
- 名前の由来:アムール川?
オルテガがポカパマズと呼ばれていた村ですね。
命名的にはアムール(Amur)川のアナグラムという意見が大多数で特に反論する気もありませんが、地理的にはアムール川からはかけ離れています。アムール川は中国とロシア国境あたりから樺太北部の大陸側の辺りまで北に向かって流れている川です。対してムオル村の位置は明らかにカムチャツカ半島の付け根の辺りですのでかなりの距離があります。一番ムオル村に近いアムール川河口からでも2000キロほどの距離があります。
北海道最北端の宗谷岬から鹿児島最南端の佐多岬までの距離で1900キロですので、かなり離れているのがわかると思います。
世界樹
- 現実での位置:西シベリア平原
- 名前の由来::各神話
シベリアの先住民サモイェードの神話だと、世界樹は地下世界とつないでいるらしいです。そこからアレフガルドを繋いでるという設定も連想できそうですね。(ただ当時の開発の方はそこまで深く考えていないと思います)
ちょっとおもしろいなと思ったのは、現実地図上で世界樹がありそうな位置(ロシアのオムスクらへん)を、地球の裏側(対蹠地)を調べるサイトで調べたらオーストラリアと南米の間、つまりアリアハンのある位置になるんですよね。実は「もしかして世界樹の裏側ってギアガの大穴!?」と思って調べてみたんですが、実際の反対側はアリアハンでした。
開発が狙ってやったのかは定かではありませんが、こういうのはちょっとおもしろいですよね。ちなみに調べてみたサイトはこちらです。
https://www.antipodesmap.com/
スー
- 現実での位置:デトロイト
- 名前の由来:アメリカ先住民族
村の名前の由来はアメリカの先住民、スー族(Sioux)で間違いありません。五大湖っぽい湖は4つしかありませんが、東からオンタリオ湖、ヒューロン湖、エリー湖、ミシガン湖でしょうから、エリー湖に接しているデトロイトが位置的なモデルだとと思われます。村自体のイメージは「偉大なるスーの国」やダコタの居留地でしょうね。
村に馬がいますが、スー族は馬に乗って活動するホース・インディアンとして有名な部族です。スー族の村で「いかずちの杖」を拾えるのは、スー族の神話で出てくる雷を司る精霊「ハオカー」の影響でしょうか。
スー東の空き地
- 現実での位置:プリマス
スーの東海岸沿いの空き地に商人を連れて行って、新しい街を開拓するというミッションですね。
はじめは位置的にNYかなと思ったんですが、商人が新しい町を開拓するという事から、メイフラワー号がピルグリム・ファーザーズ(ピューリタン=清教徒)が上陸したプリマスがモデルと考えて良さそうです。ピューリタンは商人気質のある人々ですので、「東海岸のネイティブアメリカンの土地にやってきた商人」という設定はピッタリとマッチします。
もう1つのイギリス初期植民地であるジェームズタウンの可能性もありますが、ジェームズタウンはヴァージニアであり、ワシントンDCよりも南のジェームズタウンだと位置的に少し南に行き過ぎているのでやはりプリマスが妥当のように思えます。別の初期植民地であるウィリアムズバーグも同じ理由で却下です。
発展の4段階目で商人に対するクーデターが起こりますが、男3人でクーデターの相談の時のセリフに「こうなったらかくめいをおこすしかなさそうだ」というものがありますが、これはアメリカ独立革命を意識していると思われます。クーデター後は多くの兵士が高圧的な態度で接していますので、これは軍事大国アメリカを表していると考えて良さそうです。
アープの塔
- 現実での位置:サンディエゴ or トゥームストーン
- 名前の由来:アープ兄弟(西部開拓時代のガンマン。OK牧場の決闘で有名)
アープの塔の名前はOK牧場の決闘で有名なアープ兄弟から命名されたと見て間違いないと思います。
場所的にはサンディエゴですが、OK牧場の決闘のあったトゥームストーンからあまり離れていない位置ですので、トゥームストーンの位置にしたつもりなのでしょう。
バハ・カリフォルニア半島の付け根にあり、OK牧場の決闘のあったトゥームストーンは東に約500キロほどズレています。約4歩分くらいですね。
ちなみにトゥームストーンは荒れに荒れまくった町として有名ですので、アープの塔でロープから落ちるのは当時の死刑執行方法であった絞首台をイメージしているかもしれません。
ランシール
- 現実での位置:クイーンズランド(オーストラリア)
- 名前の由来:Lancelin(ランセリン)?
地球のへそに入るための町です。
ランシールの命名については西海岸はパース近くのLancelin(ランセリン)という、砂丘のある小さな町がモデルという説が結構勢力強めみたいですが、個人的にそう考えるのはちょっと厳しいんじゃないかなと思います。
小さすぎて地図に載らないレベルの地名をわざわざ入れるか?という疑問
一番の理由としては「Google Mapも無い時代にオーストラリア西部のめちゃくちゃ小さい、知名度のない町の名前をわざわざ採用するか?」という疑問です。調べたら、ランセリンって人口600人の村ですよ?
これは推測になるんですが、おそらく制作当時、マップを作るのは大きな世界地図1枚を広げて参考にしていたと思うんですよね。もしくは中学校で使うようなレベルの世界の地理的な本を使ってたんじゃないかと。
そして、そうした大雑把な概要地図に、小さな町の名前はそもそも記載されません。(メジャーな地名ばかりがドラクエ3の命名に採用されている理由の1つは、この大雑把な地図を使用した事じゃないかと思っています)
ドラクエ3において、「明らかに現実の地名から名付けている土地」としてはポルトガ(ポルトガル)、シャンパーニ(シャンパーニュ)、ジパング、エジンベア(エディンバラ)、グリンラッド(グリーンランド)といった有名国・大都市が挙げられます。その中において、Lancelinは異例レベルの知名度の低さであり、ランセリン説は「ランシールの名前のネタ元を探してた人が、Google Mapでたまたま関連付けれそうな町をオーストラリアから見つけだした」だけなんじゃないかなと思っています。発想の順序が逆な気がします。
オーストラリアには有名な地名が他にも沢山ある
小さい町と言っても、グレートバリアリーフで有名な観光地ケアンズとかならわかりますよ?ただLancelin?う〜ん、厳しい気がします。場所も西海岸で、ランシールのある中東部から結構離れていますからね。
オーストラリアにはシドニーを始めとしてメルボルン、ゴールドコースト、ケアンズ、ダーウィン、パース、ウルル(エアーズロック)といった、ドラクエ3の他の実在地名にひけを取らない知名度の土地が沢山あります。そのなかでわざわざ地方の村レベルの町を選ぶ必要があったかと言われれば、無いと思います。
ただまあ開発スタッフの中に、このランセリンという町に思い入れがあったスタッフがいた可能性も0%ではないので100%の否定はできません。もしかしたら開発スタッフがワーホリ時代に、ランセリンで甘酸っぱいひと夏の恋とかしていた可能性も0では無いですからね・・・。まあでもだったらランシールの場所は岩山の北東じゃなくて、南西ですよね。パースに近い位置にしますよね。
なのでやはり、ランシールの名前の由来はLancelin(ランセリン)ではないと考えるのが妥当かなと個人的には思います。
じゃあ何由来なんだよという話ですが、それは不明です。対案無しで申し訳ないですが、堀井さんが語感で適当につけた名前なんじゃないですかね。
地球のへそ
- 現実での位置:ウルル(エアーズロック)
- 名前の由来:エアーズロック?
オーストラリアに位置する巨大な枚岩エアーズロックのある地域、ウルルがモデルとなっています。地球はデベソのようですね
モデル自体はエアーズロックで間違いなさそうですが、「地球のへそ」という命名はどこから来たんでしょうか。「エアーズロックの愛称が地球のヘソだから、DQ3でも地球のへそになった」という意見が多かったので調べてみたんですが、調べれば調べるほど、むしろ「エアーズロックを地球のへそって呼んでるの、日本人だけ疑惑」が湧いてきましたんですよね。
英語で以下のキーワードで調べてみても、エアーズロックの愛称としてこれらの言葉が使われているケースはほとんどありませんでした。
- 「地球のへそ」 Navel of the Earth / Belly button of the earth
- 「世界のへそ」 Navel of the World / Belly button of the World
- 「大地のへそ」 Navel of the Ground / Belly button of the Ground
英語圏で「地球のへそ」はアポロン神殿のあるギリシャのデルフォイを指すのが一般的なようです。wikiで「Navel of the World(en)」「Navel of the Earth」のリストを見ても、エアーズロックは入っている気配はありません。
ということで「地球のへそ=エアーズロック」が定着した流れとしては、一般的に考えられている
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ドラクエ3の開発陣が採用
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「地球のへそ」を思いつく
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あまりにもしっくりくる名称なので、ドラクエ3をやったプレイヤーは現地でのエアーズロックの愛称が「地球のへそ」と思い込む
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ネットの力で、非DQプレイヤーにも「エアーズロック=地球のへそ」が定着(ただし日本のみ)
エジンベア
- 現実での位置:リバプール
- 名前の由来:エディンバラ
「いなかものはかえれ!」と門番に門前払いされる田舎の城ですね。消え去り草で入って、中に岩のパズルがある所です。
エジンベアはエディンバラ(エジンバラ)城がある、イギリスのエディンバラが由来で間違いないでしょう。ただ現実のエディンバラは北部スコットランドの首都なのに、エジンベアは南部イングランドであるリヴァプールの位置に設定されているのでスコットランド人が見たらはブチ切れるでしょうね。
グリンラッド
- 現実での位置:グリーンランド
- 名前の由来:グリーンランド
へんげの杖と、船乗りのほねを交換してくれる老人の家がある大地です。元ネタはグリーンランドです。
グリーンランドは殆どの土地が氷に覆われていますが、入植者を増やすために「緑の土地」という名前にしたというのは有名な逸話ですが、グリンラッドもほとんどが氷に囲まれた土地となっています。
サマンオサ
- 現実での位置:アマゾナス州(ブラジル)
- 名前の由来:アマゾン(Amazonas / ポルトガル語)のアナグラム
ボストロールが王様に化けているので、ラーの鏡で暴き出すというイベントのある城ですね。
サマンオサは南米、ブラジルのアマゾン奥深くに位置する城です。
アマゾンを、現地の公用語ポルトガルで表すとAmazonas(アマゾナス)であり、これを並び替えるとSamanoza(サマンオサ)となります。位置的にもアマゾナス州にありますね。
アマゾンのアナグラムであるサマンオサ周辺のマップに、大河アマゾン川が流れていないが不思議で仕方がありません。サマンオサに入ると小さい川がありますが、これがアマゾン川でしょうか。まあアマゾン川といっても上流ですから小さな川なのかもしれませんね。
オリビアの岬
- 現実での位置:コーカサス地方
- 名前の由来:不明(元ネタはローレライ伝説)
黒海とカスピ海の間にある岬です。幽霊船にある「あいのおもいで」を使うイベントですね。ここを抜けるとほこらの牢獄にたどり着き、「ガイアのつるぎ」をゲットできます。
もともとは「ローレライの岬」という名前のイベントでドラクエ2に実装される予定でしたがメモリ容量の都合上カットされ、その後ドラクエ3にて無事に実装されました。
元ネタはドイツのライン川ほとりにあるローレライ岩と、その岩に住み着く精霊(女性)に関する「ローレライ伝説」をもとにしています。このローレライ岩のある付近の川底には岩が沢山沈んでおり、そこの岩にひっかかり事故を起こす船が多発したため、その話が転じて「ローレライ岩に潜む女性の精霊が美しい歌で船頭を魅惑し、船頭が川底の岩に注意しなくなるため事故が起こる」という伝説になりました。
ローレライ伝説が元ネタというのはほぼ確定事項で、実際にドラクエ3の音楽集の37番目にME(効果音)として「ローレライの岩」というタイトルの効果音が入っています。オリビアの岬という名前になった理由は不明です。
(amazonのサントラ販売ページの曲一覧よりスクショ)
ほこらの牢獄
- 現実での位置:クリミア半島
2014年のロシアによるクリミア侵攻を予知していたかのようなネーミングです。
オリビアの岬は元ネタにあふれていましたが、超えた先のこの牢獄は特に元ネタはなさそうですね。(クリミア侵攻後に作られたゲームでこのネーミングであれば中々の皮肉ですが・・・)
浅瀬のほこら
- 現実での位置:北極点
- 名前の由来:
大陸のある南極、レイアムランドは大地があって、北極の浅瀬の祠には大地が無いというのもポイントですね。
ネクロゴンド地方
- 現実での位置:サブサハラ(サハラ以南のアフリカ)
- 名前の由来:語感の良さ
ガイアの剣を火山に投げ込むと行ける、バラモスさんの住む地方です。現実世界では、サハラ以南のアフリカは、ヨーロッパ人にとっては未知の世界、「暗黒大陸」と呼ばれていましたので、そのイメージもあってのこの場所にバラモス城を置いたのかもしれませんね。
死を表す英語の接頭語ネクロ(Necro)に、地球の古代大陸「ゴンドワナ大陸」で「ネクロ+ゴンド」という説が有名です。ですが「ドラゴンクエスト3マスターズクラブ」というユーザー参加型の本で、上記の推理を投稿したファンに堀井雄二さん本人が「ネクロゴンドにはびっくりしたね。こんな意味があったんだ。(笑)ボクは語感で決めたんだけど、ちゃんと意味になってたんだね」と返信しています。なので語感の良さが名前の由来です。
ただ「死の」という意味のネクロというギリシア語由来の接頭語に関しては昔からある言葉ですので、「ネクロ」が「死」に関連した接頭語という認識をした上で、ネクロに合わせる語呂の良い言葉(ゴンド)つけたのではないかという気がします。ネクロマンサー、ネクロポリス(死者の町・墓地)といった言葉は昔からそれなりの知名度のあった言葉ですからね。
上の世界のボスであるバラモスが城を構える地域ですので、ネクロ(死)が支配する、おどろおどろしい地名にしようとした結果「ネクロ〜」と名付けたのではないでしょうか。
マップ上には湖が3つあり、現実の中南部アフリカにも巨大な湖がいくつか存在します。大きめの湖は北から「ヴィクトリア湖」「タンガニーカ湖」「マラウィ湖」ですので、バラモス城は一番東の「タンガニーカ湖」、ギアガの大穴は南東にあるマラウィ湖と考えて良さそうです。
テドンに関してはアフリカ南部のオレンジ川の近くですね。支流であるバール川も確認できていますので、南アフリカのキンバリー周辺と考えるのが妥当でしょう。
ギアガの大穴
- 現実での位置:マラウィ湖周辺
- 名前の由来:ギアナ高地(Guiana)もしくはガイア(Gaia)
南米はギアナ高地のテーブルマウンテンに巨大な穴(サリサリニャーマ)が空いていますので、地面に穴が空いているという設定はそこから持ってきた可能性が高いでしょう。そう考えると「ギアガ」という名称は「ギアナ高地」からとってきたということになります。
ただこの辺は「人類が誕生した地」ですので、ギリシア神話で神々の母にして、人類の母でもある大地の女神ガイア(Gaia)から名付けた可能性も0ではありません。
浅瀬の祠の亡霊がギアガの大穴の事を「すべての災いはその大穴よりいづるものなり」と証言していますので、バラモスはギアガの大穴を通って出てきたと考えられます。
ガイアはタイタン(巨神)やギガンテスなどの怪物を生み出しています。ギアガの大穴がバラモスなどの魔物という厄災を生んだと考えると、ガイア説も無しではないでしょう。まーガイアのつるぎなんてのもありますからね。
バラモス城
- 現実での位置:タンガニーカ湖
- 名前の由来:バラモスさん
元ネタもクソもなく、バラモスのいる城、それがバラモス城です。
場所となっていっそうなタンガニーカ湖の中ににでかい島もありませんし、基本的には架空の城・土地と考えて良さそうです。
テドン
- 現実での位置:キンバリー(南アフリカ)
- 名前の由来:不明
バラモス城付近、主人公到着時にはすでに滅んでいる村です。
オレンジ川とその支流であるバール川が描かれています。夜に入って朝宿から出るとあんな事になっているという村ですので、昼にポルトガやランシールから船で出港すると、テドンに入る頃には夜になるという絶妙な位置に配置されています。
テドンはおそらく名前、場所ともに元ネタの無い架空の村でしょう。(もし、これといった案があったら教えていただきたいです)
レイアムランド
- 現実での位置:南極
- 名前の由来:グレアムランド(南極北部)
南極の北部はグレアムランドと呼ばれており、これが元ネタです。
レムリア大陸というオカルト系の大陸という説もありますが、南極大陸は実在しますし、地形も南極大陸と非常に似通っていますので、グレアムランド説のが正しいでしょう。
竜の女王の城
- 現実での位置:モスクワ
- 名前の由来:
位置的にはモスクワなんですが、モスクワは完全に平地に位置していますので竜の女王を囲っている岩山は完全に演出上のものと考えて良さそうです。
偶然かもしれませんが、この辺にはユラン(ジラント)という竜の伝承があり、モスクワ州、モスクワ市ともに「聖ゲオルギウスに退治される竜」が市旗・州旗に描かれています。
ルザミ
- 現実での位置:無し
- 名前の由来:見ざる
以下のセリフの地動説おじいさんのいる場所です。
「じめんは まるくて ぐるぐるまわっているのです。
でも だれも しんじてくれず わたしは このしまに ながされました。
しかし……それでも じめんは まわっているのです!」
モデルは間違いなく地動説を唱えて異端審問されたガリレオ・ガリレイですが、ガリレオは別に島流しにあったわけでもありません。
なぜこんな最果ての地でわざわざガリレオ・ガリレイをモデルにした爺さんがいるのか少し謎ですね。
場所的には南太平洋ですが、この当たりにはそもそも島がまったくないのでモデルは無いと言って良いでしょう。