CDNなどで有名なCloudFlareでドメインを管理すると、卸値、つまり原価でドメインを維持できます。今回はその仕組や、安くなる条件、具体的な料金などを解説していきます。
実際に実行するかどうかは置いておいて、知っておいて損はない知識なのでぜひ共有させてください。
目次
これ以上安くはならないという価格で維持できる
そもそも僕らが支払っているドメイン代というのは、以下の3つの料金を合計したものです。
- ドメイン卸値
- ICANN手数料
- ドメイン登録業者手数料
1つめのドメイン卸値というのは、ドメインを管理している団体からお名前.comやムームードメイン、GoDaddyなどのドメイン登録業者に卸されるドメインの原価です。
2つめのICANNは、ドメインに関する世界的な管理団体です。ここに支払う手数料なので、携帯のユニバーサルサービス料のようなものと考えてください。支払い不可避です。
3つめの「ドメイン登録業者手数料」が、最安でドメインを維持するキモです。ここがお名前.comやムームードメインなどの業者の利益になります。そして、CloudFlareはここを0円にするという、他の業者が真っ青になるような暴挙に出ていますのでこれを利用します。
なのでまあ、こんな仕組みでCloudflare Registrarは世界最安値の業者(レジストラ)ということになりますね。他のレジストラだとここを0円にしてしまうとビジネスモデルが成り立ちませんからね。
なぜ手数料無料なのか
クラウドフレアは、簡単に言うと超大手で信頼性のあるサービスです。インターネットのトラフィック量の15%くらいを占める超大手のホスティング会社であり、クラウドフレアが落ちるとインターネット上の15%のサイトが見れなくなります。
そもそもなぜ、そんなクラウドフレアがレジストラの役割を提供することになったのかという話ですが、クラウドフレアの顧客調査で、ドメイン登録業者に関して聞いたところ「始めは安い価格で釣って、後で毎年値上げしてくるから嫌だ」という声が多かったため「だったら俺たちが安いの提供してやらぁ!」という感じで開発したそうです。
人間無料だと嬉しいですが、逆に安すぎると心配にもなるものです。手数料無料でも大丈夫なのかという心配は残りますが、クラウドフレアのCEO曰くレジストラなんて大した仕事はしていないと主張しています。
レジストラ(業者)は顧客の登録情報を登録して、APIを叩いて送ってるだけだよ。仲介業者達は本質的には何の価値も提供していないのに、値上げを正当化している。(All the registrar does is record you as the owner of a particular domain. That just involves sending some commands to an API. In other words, domain registrars are charging you for being a middle-man and delivering essentially no value to justify their markup.)
ということで安心して使用できますね。クラウドフレアは既存の顧客に対して、サービスに付加価値をつけているだけです。そしてクラウドフレアは無料でも使用できますので、「クラウドフレアでドメイン登録をするために有料プランを契約しないといけない」というようなことにはならなりません。
機能は十分
手数料無料ですが、機能的には十分です。というか、国内の業者に比べても十分すぎるくらいの機能が詰まっています。
基本機能は網羅
DNS、SSLといった機能は当然ついてきています。2段階認証、自動更新などもばっちりですね。(っていうか今調べたら、お名●.comって2段階認証無いですね・・・)
Whois代行も無料
Whois代行もついてきます。もちろん無料。お名●.comだと購入時に入れ忘れると、お名●.comの事本当に嫌いになりますからね。
DNSSEC対応
DNSSEC対応です。
デメリット
万能感有るクラウドフレアのレジストラですが、デメリットもいくつかあります。
新規のドメイン取得ができない
まずこれですね。新規でのドメイン取得はクラウドフレアではできず、他社からの移管のみです。そもそもこのサービスはCloudFlareの既存の顧客向けに作られたサービスなので当たり前ですね。
クラウドフレア自体は無料でも使用できるので、クラウドフレアを現在使っていない人でも登録すれば無料で移管は可能です。
登録できるドメインが限られている
日本語ドメインや、.jpドメインは登録できませんので注意してください。
下記のURLに記載のあるドメインのみ移行可能です。
https://www.cloudflare.com/tld-policies/
原価で購入できるドメインの種類は限られている
.com / .net / .info / .orgなどの卸値が均一のトップレベルドメインは原価で購入できますが、ドメインによってはレジストリが卸値を業者(レジストラ)によって変えている場合があります。そうすると以下のような事態が発生します。
レジストラCloudFlareへの卸値 > レジストラ●●への卸値
この場合、CloudFlareが卸値で販売したところで、●●の卸値+手数料のが安かったらCloufFlareに移管する方が高くなってしまいますので注意してください。レジストリは民間団体が多いですので、市場経済に則って「発注数によってディスカウント」といった価格差などが発生するため、このようになるようです。
ドメインを最安で運用するとしたら
ドメインを最安で取得・運用するとしたら、各社がプロモーションで行っている「初年度無料」で1年だけドメインを取得し、期限が切れる前(=通常料金に戻る前)にクラウドフレアのレジストラに移管してしまうことです。ただまあ初年度のプロモーションは継続利用を前提としたロスリーダーですので、その辺りはみなさんのモラルにおまかせしますw
ということで
この記事の「実際に実行するかどうかは置いておいて」という言葉を入れておきましたが、なぜこの言葉を入れたかが理解していただけたかと思います。ある程度の条件がありますので、手放しで誰にでも勧められるわけではありません。
どちらかというと「高い国内レジストラで登録している個人の方」向けかな〜と思いました。個人所有の寝かしているドメインなどは移管してしまっても良いと思います。
法人だと、移管にかかる手間を考えたら、そのままでも良いんじゃないですかね。100個の.comドメイン保有していたとしても、安くなるのは年間2〜5万程度だと思いますので、法人的にはコストはそこまで削れません。
まあ移管の面倒くささ等を天秤にかけて検討してみてください。